校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2024年12月17日

第322号 県高校生探Qフェス2024

 12月14日(土)、総合教育センターで県の高校生探Qフェスティバル(県教育委員会主催)が開催され、全県から様々な校種の学校が一堂に会し、各校で行われている取り組み、課題研究や海外派遣事業について、さらには探究的な学びについてなどの報告が行われました。課題研究のポスターセッションや、自校開発商品の物品販売、高文連自然科学専門部による全国総文に向けての予選会などには大勢の高校生、先生方、保護者、大学生、大学の先生方、教育関係の企業の皆さんなども訪れていて、総合教育センターは一日多くの人々でごった返していました。

 深志高校からも4人の生徒の皆さんが参加し、他校の皆さんとも交流をしながら、自分の興味関心について語ってくださいました。その様子をご紹介して参りたいと思います。

【未来の学校構築事業に係る深志の探究発表】

 県内6校の「未来の学校構築事業」研究指定校の職員、生徒が一堂に会し、5年間の取組みに関する発表が行われました。本校は「自治の追求による骨太のリーダーを育成する」というテーマに関し、5年間の取組みのまとめに係る発表を行いました。まず教頭先生からスタート時における学校課題の所在および、「自治の追求」とは、「骨太のリーダー」とは、の分析が語られ、その育成のため「知の探究」「課題探究」を通じて、現在の学びと将来の学びをつなげることの必要性が述べられました。その中で現在研究が進められている「深志型探究学習」については、探究・キャリア教育部長の大林先生より説明がありました。特に外部との関わりを増やす仕組みを作り、校内の自治から社会とのつながり、ひいては社会への貢献に深めようとしていることの説明がありました。さらに課題探究の事例として、2-6中澤逞さん、2-7吉水優香さんより、「松本山雅におけるZ世代の集客誘致を高める方策」の実践報告がありました。2年生4名のグループが山雅の運営会社と直接議論を行いながら、具体的な宣伝戦略、誘客戦略を実施し、次のシーズンに向けてもPDCAサイクルを回しているという実践報告は、「君たちはどちらかのコンサルタント会社の方たちですか?」と尋ねたくなるような内容でした。さらに、この活動を通じて、地域振興や都市開発への興味関心がさらに高まったと言うのですから、大学を目指す、あるいは社会につながるための学びのモチベーションを高めたいという、深志型探究学習の目的に近づいてきていることを実感しました。

大林先生より深志型探究学習の説明
中澤さん、吉水さんによるプレゼン

【WWLコンソーシアムにおけるアカデミックプレゼンテーション】

 ワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアム(通称WWL)とは、国際機関と協働しながら、参加する生徒に国際的視点に基づく学びを提供し、生徒自身の学術研究を支援する取り組みです。この学習会に、本校1年7組の田中壱さんが参加しており、今回この半年の間に取り組んできた学習の成果をプレゼンしてくださいました。田中さんのテーマは、価格の安い「ファスト ファッション」が生産者の生活環境(貧困・健康)等にもたらしている影響についてでした。オンラインでは本県の高校生だけではなく様々な国際機関やNPOの関係者とも結ばれていましたので、発表はすべて英語で行われ、専門的な質疑応答も英語で行われていました。私も地理の教員として心がザワザワする内容でした。かつて私が本校で地理の授業を担当していた頃、ヨーロッパの大手企業がインドに進出して安価な綿製品を大量に生産した際、その工場で用いられた薬剤により生産者の皆さんの健康が脅かされ、また生産量をあげるための連作により綿花畑を酷使した結果、畑の荒廃・砂漠化がもたらされるという社会問題が発生しました。普段は受験用の一方的な知識注入ばかりの授業の中で、珍しくこの問題について資料を提供して意見交換をしてもらったことがありました。田中さんの発表でそのことを思い出し、その後のインドの経済成長とともに、あの地域はどうなったのだろうと調べ始めた私でした。

田中さんのプレゼン ぜひ、調査を継続してください。

田中さんより発表の際に用いたスライドを提供していただきました。

https://docs.google.com/file/d/1KW7dpN8_HDMZeCm6luQv-wk-XxFwNJYa/edit?usp=docslist_api&filetype=mspresentation

【信州つばさプロジェクト 留学フェア】

 これから留学をしてみたいと考えている高校生と、かつて留学をしていた、あるいは現在留学している大学生・高校生が集い(オンラインを含め)、留学の体験談と併せ、留学先、生活の不安やその後の進学のことなどについて意見交換が行われていました。その中で、留学のきっかけともなり得る「信州つばさプロジェクト」で、先日韓国を訪問していた5名の方々による座談会も行われました。その中の一人として、通信第318号でご紹介した、1‐1栁澤悠斗さんも参加していらっしゃいました。留学してみたい気持ちはあるけれど、決断する勇気が無い、というような場合は、1週間という期間で、しかも複数の生徒、さらには助言者である教員とともに訪問をしてみるという手段は挑戦の第1歩として有効のようです。その結果、「この次は一人で行ってみたい」、あるいは「もういいかな」、「別の国にチャレンジしたい」など、座談会では様々な生の声が語られてとても楽しかったです。

座談会で発言する栁澤さん

 何か、やってみたいことがある皆さん、様々な企画のお知らせは、教頭先生の一斉配信メールや、大林先生からGoogle Classroomを通じて「新しいお知らせ」として提供されています。何か心に引っかかるものがあれば、遠慮せずに担当の先生に聞いてみてはいかがでしょうか。挑戦する機会はゴロゴロ転がっているような気がします。