第278号 1年生の感想文から…
2号連続で2年生が記述した文章を掲載してきましたので、今回は1年生の文章を本通信に掲載したいと思います。
ところで今週、教育に関連して新聞紙上をにぎわせた事象が、2022年の学習到達度調査「PISA」の結果です。世界各国の15歳を対象にこの調査は行われ、各国の世界順位が話題となってきます。現在の高校1年生を対象に昨年行われたこの調査ですが、調査3部門とも、3年前に比べ順位を上げていることが話題となりました。特に「読解力」が前回3年前の世界第15位から3位に大きく上昇した点が注目されています。新聞各紙では。新型感染症においても日本は休校期間が短く、学びを止めなかった点、調査に使用される端末操作に慣れてきたことなどがその理由として指摘されています。しかし朝日新聞などいくつかの紙面では、探究的な学び、発信力を育成する学びに転換してきたことが要因ではないかとする学者の説を掲載しています。特に今回の調査の読解力に関しては、「情報を読み取り発信する力」が試されたそうで、課題解決型の学びを取り入れてきた成果が指摘されています。本校でも授業や探究の時間においては知識の享受に加え、自ら考え発信する力の育成に取り組んでいることは、これまで何回かこの通信にも記載させていただきました。そして授業のみならず、生徒会や部活動の場面等においても、生徒の皆さんの発信力の高さについては、これまでも驚くことが多くありました。前号まで2号続けて掲載させていただいた2年生の研修旅行の感想文にしても、文章のスタイルや硬軟折り混ぜた書き様などにより、読む者の心の中に訴えかける力を持つ作文であると感じていたところです。
そこで今日は、1年生の文章を無作為に抽出し、掲載させていただきました。第275号でも紹介しましたが、11月24日に卒業50周年にあたる25回生の皆さんが1年生を対象に尚学塾の講演を実施していただきました。その感想を、ほんの一部ですが掲載したいと思います。それぞれは短い感想文ですが、いかがお感じになりますでしょうか。
○ 講師の方曰く「人生何とかなる」と。講師の方の人となりや性格もそうだが、人との巡り合わせや偶然的出来事(話を聞いていくと、それらも必然のように感じてくる)が功を奏して今を形作ってゆくのだと思うと、「案外大丈夫かも」と、ホッとする。しかし、それは何もしなくて良いということではなく(講師の方が最後の方で言っていたように)、「とにかく実践すれば、必ず何か用意されている」ということを肝に銘じ、これからの進路選択と向き合おうと思った。(遠藤講座)
○ 一輪車の仕組みを知ることができ、とても面白かった。ものが回るだけで姿勢を維持できるのは、これまでも不思議で仕方がなかったのですが、一度自分でも探究してみたいと思いました。(大澤講座)
○ 55分という時間はあっという間に感じた。スライドよりも先生の言葉として伝わる物に耳を傾けメモを取っていたら、いつのまにかノート見開き2ページ分メモしていた自分に苦笑いした。先生の話術に引き込まれた同級生も多かったと思う。自分よりも聞き手の理解を優先しながら喋っていたように感じる。自分は研究することは好きであるが、今回の講演を通して、研究することの大変さを知った。『研究することは立問である』日常に溢れる事象から「?」が浮かぶ人になりたいと思う。(沖講座)
○ 環境の具体的な対策について詳しくお聞きしたことがなく、とても印象に残りました。公害の原因物質も聞いたものがないものが多く、知っていく必要があるなと感じるとともに、先人の方々の環境を良くしていこうという努力を引き継いでいかなければいけないなという責任も感じました。(小林講座)
○ 作家という、答えのない問いに向き合い続ける職業の大変さと共に、その人生の面白さがわかった気がする。自分の人生を歩む時に、下川さんの話を思い出したい。(下川講座)
○ 今まで現代の国語や家庭基礎などで習ってきた「問い」に対して、専門の方の意見が聞けて良かった。今後の問題はもちろん、今までのデータや、昔に比べ現在の劣ってしまっている点、大変だった経験など、多くの医療における波を見聞きでき、学び多き時間となった。(杉山講座)
○ 出光興産を作った出光佐三氏のエピソードや経営者としての心構え、関さんの最後の夢についてのお言葉などがとても印象深かった。これからの自分に活かせそうなことも多かったので、今日のお話を覚えておきたい。(関講座)
○ とても貴重なお話ありがとうございました。悩んで決めた道に後悔はないという言葉を大切にしたいと思います。そして、今やっているとことはきっといつか役にたつのだと気づきました。私もまだ進路を決めかねているのですが、たくさん悩んで、決めていきたいと思います。(竹本講座)
○ D(diversity)E(equity)I(inclusion)をパラスポーツを通して学ぶ、ということで参加しました。とくに「inclusion」において、誰もが共生とは何だろうと疑問符がつくなかでこの学習をとおして講師の方の「みんなが楽しめるように」という言葉が印象に残りました。これで「inclusion」のすべてがわかった訳ではありませんが、1つの指標として考え続けたいと思いました。(田中講座)
○ 今日のお話をお聞きして、宣伝やリスクマネジメントの方法、社会からの信頼を勝ち得ることの大切さを実感しました。僕がこの講座を選択させて頂いた理由としては、今後の人生の中でやりたいことを実現していくためには自身についてアピールしなければならない機会もあるだろうと思ったから、というのが大きく、今日のお話はとても参考になりました。お聞きした事を肝に銘じ、理想の実現に向けて邁進したいと思います。(萩原講座)
○ 先生のこれまでの人生経験を元に、深志の昔だったり文化財になるまでの努力だったりを学べてすごく面白かった。これからの進路を考える上でも、やりたいと思うことがまず第一歩だということが印象に残ったに身に染みた。(福島講座)
以上、多く寄せられた感想のほんの一部ですが、掲載できなかったものも含め、多くの文章から瑞々しい感性と、新たな出会いの中で少しでも多くのものを吸収しようとする姿勢がうかがわれます。これらの感性は残念ながら今の自分は失ってしまったものでもあります。生徒の皆さんの文章を読んでいて再び取り戻したいという思いで胸がいっぱいになりました。何か、深志生の皆さんにお礼を言いたい、そんな年末です。