第274号 深志高校の学びについて考える
18日(土)は1年生対象の第3回の信大連携ゼミ及び、2年生対象の深志教養ゼミが開催されました。私も28名の2年生とともに、松本市東部地区の城下町の名残を、江戸末期の絵図を片手に巡検しました。参加生徒の皆さんには、これを機会にして、自分の生まれ育った地域の変遷にも興味を持っていただければと願っています。深志高校では様々な「知の探究」の題材を生徒の皆さんに提供し、学ぶことの楽しさや、将来につながる学びに気づいてもらい、高校で学ぶことのモチベーションを上昇させてもらいたいと考えています。
終始業式でもお話ししましたように(第273号)、「自由・自治」の校風・伝統があるからこそ、本校ではのびのびとした学びが展開され、自分が見つけた「好き」や「楽しい」、「ワクワク」を徹底的に追求することのできる環境があると思います。全国的には「校則の見直し」が叫ばれるようになった昨今、「自由の保障」による「主体的な学びの創出」が、いくつかの県や大学での研究課題ともなってきている様子です。11月は群馬県総合教育センターの3名の方と、名古屋大学大学院教授および研究者の方3名の2組の方々が視察にいらっしゃいました。研修・研究テーマはほぼ同じ、「自由・自治の伝統・校風が生徒の学びにもたらす効果について」です。
群馬県総合教育センターの方々は11月1日(水)にご来校くださいました。その後次のようなご報告をお送りいただきました。許可を得ましたので掲載をしたいと思います。本校の様子が外部の方にどのように映ったのか、大変興味のあるところです。
一方、名古屋大学の方々は、自由・自治による生徒会・部活動等を通したファシリテーターの成長と、それを活かした教科でのグループワークやペアワークについて着目をされました。3年生の体育の授業では、種目選択制がとられていますが、各種目においては主体的に授業が進められ、ファシリテーターの生徒によるタイムマネジメントのもと、練習やチーム対抗戦が進行していきます。さらに授業後には本日の成果と課題が各自のルーブリックに記録され、次回の授業に生かされる形態がとられています。他教科の授業においてもペアワークやグループワークが生徒の主体的な進行によって短時間で成果をあげていく。そうした学びのスタイルが、学校生活全体の自由・自治の中で形成されているのではないかとの考察をされていました。校外の皆さんの視察を通してではありますが、「自治・自由の伝統・校風」と「深志高校における学び」の関係性について、あらためて気づかされました。
【「深志の伝統」と「第4次長野県教育振興基本計画」】
「第4次… ~ 」なんて、何だか政策的な名前でとっつきにくいような感じもしますが、長野県教育委員会が「今年度からの長野県教育をこんなふうに進めていきたい」、という指針を示したものがこの計画です。わかり易く解説したコンセプトブックが出されていますので、さらにそこから抜粋した要点のみを次に掲載します。
ここで特にキーワードとなっている「個人と社会のウェルビーイングの実現」ですが、例えばとんぼ祭において、来場する皆さんを安全に楽しませたい、会場では保護者も地域の方々にも満足していただきたいと取り組んだり、鼎談深志の中で地域の皆さんとともに課題解決をしようとしてきたことは、まさにこれまで生徒の皆さんが、自分たちだけではない最大多数の幸福を主体的に探究してきたことであると言えるのではないでしょうか。また将来の社会形成につながることを念頭におきながら協働的に学びに取り組む姿勢も、先述のように「好き」「楽しい」「なぜ」をとことん追求する姿勢も、本校の伝統として先輩方から引き継いできたものでもあります。そう考えた時、もちろん本校に内在する様々な課題を修正しながらではありますが、現在の学校の方向性を、自信を持って進めていくことが大切なんだと私は感じるのですが、いかがでしょうか。