第229号 卒業50周年の皆さんによる特別講演
第226号に、卒業30周年を迎えた44回生の皆さんによる特別講演に関する記事を掲載いたしましたが、今回は11月25日(金)に実施された、24回生の皆さんによる特別講演に関して、お伝えしたいと思います。24回生の皆さんは、卒業後50周年にあたります。本校では毎年30周年と50周年の方々に特別講演をお願いしておりますが、50周年の皆さんには1年生に向けて講演会を行っていただきました。
50年前と言えば、1972年、沖縄が日本に返還された年です。2月には札幌オリンピックが開かれ、一方で軽井沢ではあさま山荘事件なんてショッキングな出来事もおこり、小学生だった私は教室でテレビに釘付けだったことを覚えています。翌年にはオイルショックがおこり、高度経済成長と呼ばれた時代が終わりを告げようとしていたころ、24回生の皆さんは深志を卒業されたことになります。
15~16歳の1年生は、大先輩の皆さんの話しをどのように受け止めるのだろうかと、少し心配しながら見つめていました。しかし55分という時間があっという間に過ぎていきました。それぞれのテーマがとても興味深く、生徒たちも目を輝かせながら知的欲求の泉に水が満たされていくような表情をしていました。
多くの皆さんの講座を少しずつ拝聴しましたが、老化のメカニズムのお話に自分を振り返らずにはいられなかったり、長崎で音楽のお仕事に携わっている様子をうらやましく思ったり、さらに地理教員としての個人的興味では、カザフスタンの話しやパプアニューギニアの話しはゆっくり聞いていたい気持ちになりました。そんな中で、テレビマンユニオンでプロデューサーをなさっていた合津直枝さんのお話は、いろいろと考えさせられました。まずは今では想像もできないほど、就職時における女性に対する差別が猛烈だったということ。法的な整備がまだ何もなされていない時代、社会での活躍を望む女性の皆さんにとっては、厳しい現実があったことが思い返されました。さらにテレビマンユニオンといえば、本校OBの萩元晴彦元社長(深志1回生)の名前が浮かんできます。今では懐かしい、「オーケストラがやってきた」(どのくらいの年代の方がわかるでしょうか。山本直純氏のおひげと赤いブレザーが目に浮かびます。当然高校生は全く知りませんでした。)を制作していた方で、私の在学中も何回か本校を訪れ、深志の音楽部、吹奏楽部もプロの演奏家とともに出演させていただいたことが蘇ってきました。その際、高校生の意見を取り入れながら番組作りをする姿に、我々を信じて受け入れてくれる大人のカッコよさを感じたことを覚えています。テレビ番組制作や映画製作のお話は、うかがうだけで創造力を掻き立て、ワクワクするものです。
講師の方々は、これまでのキャリアの中で、何に夢中になったか、何に苦しんだり失敗したのか、そして今何を思うのか、その語り口も決して押し付けではなく、生徒の反応に気を使っていただきながら、説得力のあるお話をいただきました。高校卒業50年のキャリアに刻まれてきたものを受けとめるとき、高校生もこれからのキャリアに向けて、何か感じるところがあったに違いありません。(すべての講師の方のご様子を取り上げることができませんでしたことをお詫びいたします。)