第226号 「知の探究」への取組み
10月はまさに学問の季節。秋うららかな季節の中で、知の探究が進められました。
22日(土)は第2回目の信大連携ゼミ(1年生)と深志教養ゼミ(2年生)が行われましたが、前回(9/17)のガイダンスに続き、本格的な講座がスタートしました。信大連携ゼミでは、大学や大学院の授業の一端を経験しながら、「学問をするって、研究するって、どのような方法で、どのように突き詰めていくのか」について、それぞれのテーマに基づいて展開していきました。大学で学ぶとはどういうことなのか、高校の学びはこれからの学びとどのようにつながっているのか、そんな点に触れられたのではないかと思います。
また、深志教養ゼミの各講座では、担当の先生方がご自分の知の蓄積を精一杯生徒に伝えようとする姿がありました。どの講座も大変興味深かったのですが(個人的には大学の授業で単位不認定となった古文書講座に闘志が燃えました)、人間の心臓に近い豚の心臓の解剖を通じて、心臓の仕組みや大きさなどを体感しながら学ぶ講座は大きなインパクトでした。また京都大学工学部工業化学科の教授による出前講座では、分子の様々な原理や、大学での研究が直接病気の治療に結びついていることなどがオンラインを通じて語られました。自分で課題を見つけて自分で解決していく学びもこれからの社会生活には不可欠ですが、未知の知識や技術をどんどん吸収していく「知の探究」もまた、深志生にとってはとても大切な学びであると感じた、秋うららかな半日でした。
【44回生による特別講義】
29日(土)は、中学生向けの授業公開が実施されましたが、3時間目には2年生を対象として、今年卒業30周年を迎える44回生12名の皆さんによる特別講義が行われました。50歳を目の萌に、様々な分野で中核として働く皆さんのお話は、とてもリアルで、いろいろな迷いや挫折も経験しながら、今の自分が納得できるお仕事に携わっている様子を拝察しました。きっとお話をうかがった2年生の皆さんも、キャリアに関する様々なヒントや刺激を受けたのではないでしょうか。
44回生の皆さんは、団塊ジュニア世代の皆さんで、高校時代は1クラス45人で10クラスあったそうです。二棟はまだ建て替えられていませんでしたが、教室にすべてのクラスが入りきらず、一棟の南側の自転車置き場付近にプレハブ教室が建てられていたそうです。午後行われた祝賀会では、当時の学校新聞や配布された手書きの様々な印刷物、担任の先生の学級通信(これも手書き)などがスライドで紹介されました。また、当時の写真からは、まだバンカラな気風が残っていたことをうかがうこともでき、3年9組の水野君(教頭先生)は吉川晃司そっくりで、3年10組の副担任だった塩野英雄前校長先生は若く輝くイケメンぶりでした。平成初め頃の高校生の皆さんは、大学入試では狭き門の試練を受け、大学を卒業するころはバブルが崩壊するという時代で、苦労をされた方も多かったのではないかと思います。それでも人数が多く、部活動も学校行事も活気あふれる青春時代を過ごしてこられたのではないでしょうか。少子化の進む現代とは異なる時代を生きてきた先輩方の姿やキャリアを知ることは、きっと現代の高校生の参考となる部分が多いと確信した一日でした。
【広島県教育委員会様、広島国泰寺高校様 来校】
10月25日(火)午後、広島県よりお客様がありました。広島県教育委員会からは、平川理恵教育長の他3名の教育委員会事務局の皆様、そして広島国泰寺高校からは大林秀則校長先生の他3名の先生方が本校の視察においでになりました。平川教育長と言えば、最近メディアや出版物で知られる方で、来校中もハッとさせられる発言をたくさんお聞きすることができました。時間が許せば生徒の皆さんによる発表や報告をプログラムに入れたかったのですが、時間が限定されておりかないませんでしたので、私や教頭先生、係の先生の方から生徒の様々な活動について説明をさせていただきました。やはり焦点は「自治・自由」とその背景にある精神の部分だったかと思います。生徒会の皆さんが体験入学の折、中学3年生に向けて語っていたことを参考に、広島県の皆さんには説明をさせていただきました。また校舎を見学される中で、広島市では原爆ですべてが失われてしまったため、本校のような建築物が存在しないことが、あらためて残念であるとおっしゃっていました。他ではあまり見ることのできない伝統的な校舎で学ぶ意義をあらためて考えさせられた場面でもありました。広島国泰寺高校では、今後自治の気風をさらに育てていきたいと大林校長先生が語っていらっしゃいました。現在本校の2年生は12月の研修旅行のプログラムとして、この国泰寺高校の他、西条農業高校、舟入高校、基町高校への訪問を計画し、1年前からこれらの高校と交流を始めています。何を吸収し、これから広島県の高校との間でどんな関係性が始まるのか、とても楽しみとなった一日でした。