校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2025年2月10日

第327号 春は名のみの…

 1月後半は比較的穏やかな気候でしたが、立春が過ぎて今年度最長・最強の寒波がやってきました。北陸や北部信州はかなりの積雪で、皆さんご苦労されている様子、心よりお見舞い申し上げます。松本は晴れたり曇ったり、時折風花のような粉雪が舞いおります。寒風に木々も揺れ、大地の「冬の呼吸」が聞こえてくるようです。3年生は私大受験が始まり、4日には国公立志願の締め切りを迎えました。皆さん、最後まであきらめずに頑張っていきましょう。

 さて、そんな2月前半における深志高校のトピックスをいくつかご紹介して参ります。

【今年も「ホームプロジェクトコンテストながの」で上位入賞者続出】

 昨年、一昨年も掲載しましたが、「2024ホームプロジェクトながの」において、上位入賞者に深志高校の皆さんの名前が並びました。この大会は、自分の生活の身の回りの中で、工夫によって生活が便利になったり健康や安全が増進されるアイデアを探究しプレゼンするというコンペティションです。今年度も県内の高校生の皆さんの応募作品の中から、以下の深志生の皆さんが入賞作品として選ばれました。

【最優秀賞】「朝の0秒コーディネート~毎日の服選びをスムーズに~」(1-3)藤尾有那さん

【優秀賞】「自立に向けた朝食作り~栄養バランスを考え、親の負担を減らし、自立の準備をしよう~」(1-1)武本直樹さん

【優秀賞】「夏野菜五段活用~お家レストランでおもてなし~」(1-3)小松千紗さん

【審査員特別賞】甦れ!信州の夏野菜~はやく!美味しく!簡単に!」(1-2)名坂実紘さん

受賞された4人の皆さんと家庭科の大井先生

 それぞれ、身近において気がついたことについて、「現状把握⇒課題の存在発見⇒解決方法の仮説⇒実験⇒解決方法の変更⇒実験…」という手順がしっかり組まれていて、オーソドックスで、がっちりとした探究が行われていたという印象でした。中でも最優秀の藤尾さんの課題はテーマが斬新で、制服の無い私服の学校ならではの視点だと感じました。また解決方法も「だれでも頑張らなくてもできそう」という点に共感しました。さらに探究を行うためには、どの作品にも共通ですが、地域の専門家や外部の方に評価してもらって、改善を加える工夫なども必要なのではないかと思いました。そうした時に活用させていただけるのが、様々な分野で活躍している本校の同窓生だと思うのですが…。いかが?

【2年生希望者による台湾研修旅行】

 昨年度の2年生から始まった希望者による海外研修旅行。昨年に続き、今年度も台湾へ3月25日から28日までの3泊4日の旅を計画し、事前学習が始まっています。2月6日(木)のLHR終了後は124番教室に参加者が集合し、台湾研究の第一人者でもある、胎中千鶴先生(目白大学)をお呼びしてお話をうかがいました。胎中先生は大の信州好きでいらっしゃって、東京の大学で講義を行いながら、信州に引っ越してしまいました。その講義はとても熱く、台湾が好き、生徒が好き、学ぶことが好き、という先生のお人柄がビシビシと伝わってきました。

 講義の最初は「深志生なら観光旅行じゃぁつまらない」という檄でした。胎中先生の台湾愛につつまれて、台湾の人々の考え方の傾向、気質、文化などがシャワーのように降り注ぎ、台湾で学ぶことのヒントをたくさん与えてくださいました。124番教室に集った2年生の皆さん、初海外の人も、そうでない人も、どんなことを感じ取り、学んでくるのか楽しみになってきました。

【今井義明先生 文部科学大臣表彰祝賀会】

 本校の第24代校長(前々校長・2017~2020年度)で現在県教育委員会事務局の高校改革推進役の任についていらっしゃる今井義明先生が、文部科学大臣表彰を受賞され、その祝賀会が関係者によって2月9日(日)に開催されました。今井先生と言えばこの校長通信「ゆくて遥かに」の創始者、第1号の発行者で、手書きの似顔絵とともに、151号まで発行をされました。在職中は65分授業の55分への変更や、自然科学特探コースの設置、未来の学校構築事業の導入等、現在の深志につながる方向性をご支援くださいました。文科大臣表彰を受賞されたのは令和3年12月でしたが、折しも新型ウィルス感染症の真っ只中。結局受賞から3年後の開催となったわけですが、大規模な祝賀会ではなく、今井先生がこれまでお世話になった関係者の皆様への、お礼の会としての趣旨で実施されました。(小規模で行いましたのでお呼びできなかった方も大勢いらっしゃいましたことをお詫び申し上げます。)私が本校の社会科(地理)の教員として勤めていたのは2014年度まででしたが、その後新型ウィルス感染症を伴う激動の時代を経て、深志の学びは大きくアップデートされバージョンアップしてきました。しかし、自治と自由の伝統、さらには深志生の持つ創造力、協働性、主体性は変化せずに脈々と引き継がれているのではないかと思います。今井先生や塩野前校長先生のご尽力は勿論ですが、深志に在籍した生徒の皆さんの努力、先生方のご尽力、保護者の皆さん、同窓会の皆さんの惜しみないご支援の賜物であると理解しています。