第215号 55年目の8月1日について
今年もまた、深志高校に8月1日がめぐってきます。深志高校に在籍・在職したものとして、昭和42年8月1日の西穂高岳独標での遭難事故は、55年が経つ今もなお、忘れることのできない、忘れてはならない出来事です。今年も8月1日午後1時30分よりモニュメント前で追悼式を行います。ご都合のつく方は、ぜひともご参列いただければと思っております。
遭難事故の概略については、風化させることなく生徒の皆さんの記憶にとどめていきたいという願いから、一学期終業式の校長あいさつの中で毎年皆さんに向けて発信しています。私は自分が中学生だった夏に、父親の仕事部屋で追悼文集「独標に祈る」を見つけ、それを読むことでこの事故のことを知りました。そこで、今年の終業式では、その時の思いを生徒の皆さんにお伝えさせていただきました。終業式のあいさつについては、次の通りです。
また、しばらくコロナと地震により実施を見送っていた慰霊登山ですが、今年は3年ぶりにOBOG有志の方々と、本校山岳部の皆さんにより実施される予定となりました。当初山岳部も1泊の行程を考えていましたが、再びコロナの感染者数が増加してきたことを受け、日帰りでの実施に変更となりました。今回慰霊登山への参加を予定しているOBOGの方のうち本校の旧職員でもある遠藤正孝さん(29回生)は、「この事故で、学校登山のやり方が朝のうちに登頂する今の形態に変わったともいえます。それほど大きな影響を与えた事故でした。日本最大の山岳落雷事故であったこの悲劇自体を深志高校の一部として、しっかり伝承していかなければならないと思います。だから体の動く限り、慰霊登山は続けたい。」と話してくれました。また、現役生で慰霊登山を行う山岳部の新部長:2-6仁科環樹さんは、「部員11人で行ってきます。深志生として特別で大事な登山であると思っています。小学生のころから山に登っていますが、山の恐ろしい部分をあらためて実感しました。二度とこのような事故を起こさないと山で誓って来たい。」と話してくれました。
最後に、本校地歴公民科に数年前までお勤めだった鈴岡潤一先生(21回生)をご紹介します。先生はあの時、独標の斜面にいらっしゃって自らもけがを負われました。その鈴岡先生が卒業40年目の年に21回生の皆さんの思いを集めた文章を、PTA会報33号に掲載してくださっています。21回生の皆さんの40年後の思いや関係者の方々のお言葉を、PTA会報のバックナンバーを通じて再度お示ししたいと思います。(掲載にあたりましては、鈴岡先生のご許可をいただきました。)